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2006年12月23日 オオクワガタ幼虫の越冬
「良い飼育方法だと思ったんだけどなぁ〜」
オオクワガタの幼虫を、何頭かまとめて菌床ブロックに投入するまとめ飼い。

菌糸ビン飼育のように、幼虫が死んでしまってビンが丸ごと無駄になる事がないし、あまり食べない幼虫の分は、たくさん食べる幼虫が食べてくれるので無駄がない。割り出しの時に用意する菌糸ビンの数に悩む必要もないし、何より菌床をビンに詰める手間が省ける。

「初心者にはお勧めの飼育法になるはずだったんだけど・・・・」
しかし、実際にまとめ飼いを始めてみると、とんでもない事の連続。

まず、幼虫の成長速度が遅い。

成長が遅いだけなら良いのだが、メスの中にはとうとう羽化するものが出始め、まとめ飼いをすると成長不良&早期羽化になる事が発覚。

さらに、ブロックの中にいる幼虫のうち、たった1頭が暴れだしただけでブロックが崩壊。
せっかく新しい菌床ブロックに移し変えたのに1週間で崩壊し、また新たな菌床ブロックに移し直す事もしばしば。

大きくならないだけでなく、非効率で非経済的。
予想とはまったく違った結果になってしまいました。

とは言うものの、途中で投げ出すわけにも行かず、今日も今日とて、崩壊してしまった菌床ブロックを交換するのでありました(T_T)

年末も押し迫ったこの時期に、なんら期待するものがない菌床交換ほど骨身にしみる作業はありません。冬の寒さに耐えながら、菌床ブロックを交換している時に、ふと頭をよぎった事。

「幼虫は冬眠させたほうが良いのだろうか?」

蛹になれず、ずっと幼虫のままで、やがて寿命が尽きて死んでしまう個体がいる。
そんな個体を出さないためには、冬眠させるのが一番良いという理論がある。
日本には四季があり、その四季に合わせて生き物の営みが繰り返されている現実を見れば、至極当然の理論。今、この時期に実験してみるほどの重要性はない。

「でも、冬眠によって、その後の幼虫の成長に影響が出るとしたら・・・・」

オオクワガタの幼虫は、日本に四季がある事を本能的に知っている。
卵から孵った後、一番最初にやって来る関門は、蛹化でも羽化でもなく越冬である事を彼らは知っている。そして、その越冬に耐えるために、体内にたくさんの栄養を蓄える。

ウチの幼虫たちは、冬など来ない温室に住んでいるなんて、夢にも思っていないでしょう。
今はちょうど越冬に備えて体内にたくさんの栄養を蓄えた状態かな。
「今、蓄えている越冬のための栄養って、羽化の時に必要な栄養と同じなのだろうか?」
ふと思った疑問が、「冬眠」の核心に迫ったような気がした。

越冬のための栄養は糖や脂肪といったエネルギーが中心のはず。しかし、大型のオオクワガタに羽化するために必要な栄養はエネルギーではなく、外骨格や筋肉など体の元となる物のはず。

「越冬を境にして、体内に蓄える栄養の構成を変えるのだとしたら・・・・」

孵化後、越冬に備えて体内にエネルギーとなるものを蓄える、そして越冬後は羽化に備えて体の元となる栄養を蓄える。あくまで仮定でしかない。しかし、もしその仮定が正しいとしたら、私は冬に備えている幼虫たちを無理やり羽化させてしまっていた事になるかもしれない。
そこまで行かないにしても、幼虫たちは越冬か羽化か、どっちつかずの状態で蛹化していたのかも。

越冬に備えた幼虫は、いわば脂肪ばかりのプヨプヨに太った肥満児。
しっかり冬眠させて、冬眠後、羽化に備えた体作りをした幼虫の方が、同じ体重でも大きな成虫になる可能性は大いにありそう。

「う〜ん」
メチャクチャ冬眠に対する興味が湧いてきました。

「来年は冬眠実験をしてみるか・・・」
そう思いながら遠い未来を見つめていた眼差しを現在の手元に戻した時、そこに冬眠実験におあつらえ向きの幼虫たちがいる事に気が付いた。
「そうか、この失敗したまとめ飼いの幼虫たちがそのまま使える!」

今回崩壊したブロックにはオスが6頭。その6頭を菌糸ビン飼育に戻し、冬眠させたグループと、冬眠させなかったグループに分ければ・・・・。

菌床ブロックの中で複数頭飼いしていた幼虫たち。環境が似通っていましたので、大きさもほぼ同じ。実験にはもってこいです。

いや〜、疑問が湧いた次の瞬間に、実験に移れるなんて何たる幸運!。

さっそく幼虫たちを菌糸ビン飼育に変更しました。

2週間もすれば幼虫たちは落ち着くでしょう。そしたら2グループに分け、1つのグループは2ヶ月ほど冬眠させる予定です。
さて、冬眠は幼虫の体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

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