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2008年10月11日 ひとつの夢
最近の週末は、毎週のように菌糸ビン交換をしています。
交換対象は、ほとんどがオス。3本目への移行です。個体差があるため一斉に交換と言う訳にはいかず、毎週4、5本程度、だらだらと作業が続きます。

1本目を食い上げた状態で25gもあるんですから、2本目を食い上げれば、計算上50gくらいは行きそうなもんなんですが・・・・

増えるのはほんの2、3g(^_^;)

どうせ2、3gしか増えないのなら、そんなに食べ散らす事もないのに、しっかり食べ上げたふりをして、次の菌糸ビンを要求するんですよね。

いったいオオクワガタの幼虫の成長って、どういう仕組みになっているんだか(^_^;)

何かが足りないのでしょうか。

体を大きくするための栄養は菌床の中に十分含まれているから、菌糸ビン1本あれば体はある程度大きくなる。しかし、何か足りない栄養素があるから、それを得るために菌床を食べ続ける。

状況から察するに、その栄養素は菌床に極微量しか含まれていないから、まるで数トンの金鉱石の中から数グラムの金を得るが如き食事が続く。かくして、その栄養素を得るためだけに、大量の菌床が他の大量の栄養素と共にフンと化して行く・・・・もったいない(^_^;)

でも、この仮説はあまり的を得ていないような気がします。なんてったって、完全栄養食とも言える新生児用の粉ミルクを菌床に混ぜているんですから。人間の赤ちゃんでさえ粉ミルクだけでスクスク育って行くんですから、不足している栄養素があるなんて、とても考えられませんよね。

でも、唯一考えられるのは骨格形成に必要な栄養素かな。

人間は内骨格だから必要なのはカルシウム。オオクワガタは外骨格だから必要なのはキチンキトサン。オオクワガタの成虫の全身を覆った、硬く分厚い外骨格を考えると、やはりこの辺がカギになりそうですね。

と、まあ、空想の話はおいといて。

だらだらと続く3本目への交換ですが、作業は全然苦になりません。それどころか、早く交換したくてウズウズ。「ちょっと早いけど、こいつもついでに交換しちゃおうかな」なんて、交換するビンを無理やり増やしちゃったりしています。

なんてったって、2本目への交換時に、かなり体重の乗った幼虫が多数いましたから、夢の1つである「30gを超える幼虫」が、ポロッと出てきそうな雰囲気が、そこらじゅうに漂っています。

しかし、冒頭の写真の通り、2本目の移行で25gを超えた幼虫でも、増えているのはほんの3g程度。やはり30gの壁は、私にとって越えるに高く、破るに厚い存在のようです。

「こいつは結構、伸びたな」

2本目で伸びる伸びないの個体差は、かなりあります。
伸びた個体の菌糸ビンを観察してみると、やはりしっかり居食いしています。

最初は移動しながら食っていても、途中で居食いするようになり、居食い部屋の壁を広げるように食い進んで行っているようです。居食い部屋のスペースが広く、そして壁が明るい茶色をしているのが特徴。

逆に、居食い部屋を作らず勝手気ままに食べまくっているやつや、居食い部屋を作っても、ビンの底の角に、壁の黒い小さな居食い部屋しか作っていないようなやつは、あまり伸びていませんでした。

まあ、これは「こうすれば、伸びる」と言ったものではなく、「伸びると、こうなる」と言ったものですので、伸びているかどうか、観察の目安にはなるものの、飼育方法の向上には何の役にも立ちませんね(^_^;)

でも、掘り出し前の確認で、伸びていそうな雰囲気だと、とてもワクワクします。

「30gを超えるとしたらこいつだな」

菌糸ビンの中層辺りにでっかい居食い部屋を作り上げた幼虫。しかも壁は黒く変色しておらず、明るい茶色を保っています。上にも下にも居食い部屋を広げられる「中層」と言うのも、かなりのポイントでして、全ての菌糸ビンの中で一番期待が持てる状態に食い上げています。

「あ、いい感じ」

ガラス越しではなかなか把握できなかった幼虫の伸び具合も、実際に掘り出してみると、かなりいい感じに成長しています。とは言うものの、20g後半まで成長した幼虫では、1g程度の差なんて見た目では分りません。

「たのむよ〜」

期待できそうなオスは、既にほとんどが3本目へ移行してしまっていますので、実質的にこいつが最後の1頭。いやがうえにも期待が高まります。
ドキドキしながら、幼虫をスケールの上に乗せると・・・・

「か〜〜〜〜っ」

もしかしたらと思ったんですけどねぇ〜、あと一歩及びませんでした。

30gの夢は来年以降に持越しですね。

だいぶ寒くなってきました。今後の予定としては、今回交換した菌糸ビンで越冬してもらい、そのまま羽化まで持って行くつもりです。冬の間は寒いので菌床はほとんど劣化しませんし、暖かくなればすぐにでも幼虫たちは蛹室を作り始めるでしょうから、この時期にフレッシュな菌糸ビンを与えておけば、特に問題はないでしょう。

問題があるとすれば、まだ3本目に移行していない幼虫たちですね。
かなり古くなった2本目の菌糸ビンでは、どう考えたって羽化までもちそうにありません。
どうせ、もう一度交換しなくてはならないのなら・・・と言う事で、まだ3本目に移行していない幼虫たちを一堂に集めて菌糸ビン交換。今ならビンの水洗いも全然苦になりませんからね。

と言う事で、菌糸ビン交換の作業は続きます。

食い上げたと言うには程遠いだけあって、出てくる幼虫たちは、どいつもこいつもパッとしません。いつもと違い、感情の起伏から、かなりかけ離れた心理的状態の中で、淡々と作業が続きます。

「なんだ、こいつは」

それは突然の出来事でした。

菌糸ビンの外観は、食痕がほとんどなく、白い状態のまま。小窓のように小さく開いた穴から、中の幼虫の白い肌がかすかに見えたので、生きている事だけはかろうじて確認出来ただけの、とても期待などもてそうにない菌糸ビン。

掘り進んで行くと、現れたのは、ぽっかり空いた居食い部屋でした。

菌糸ビンの中層、そして菌糸ビンの中央。

まさに上下前後左右360度、どの方向にも拡張できる絶好の場所に、居食い部屋を作っていました。

しかもその居食い部屋はビンのサイズぎりぎりまで拡張され、壁の色もかなり良い状態。

「こいつは、期待できる」

今回の法則を当てはめるなら、この菌糸ビンは今までで最高の状態といえます。
ただ、個体差が存在する生き物が相手の法則ですので、当たるも八卦当たらぬも八卦。

奥の方に、半分埋まるように隠れていた幼虫を掘り出してみると・・・


「でかい!」

確かにでかい。

あの29gの幼虫に匹敵するほどのでかさです。

「こいつは、もしかしたら・・・・」

過去最高の状態の居食い部屋。
そして期待を裏切らない幼虫の大きさ。

来年までお預けと思っていた夢がもしかしたら・・・・。

ドキドキしながら幼虫をスケールの上へ・・・と思ったのですが、淡々とした菌糸ビン交換の作業の中で、スケールの上のプリンカップはすっかり汚れてしまっていました。

こんなに汚れていたのでは、神のご加護もないとばかりに、プリンカップを洗い清め、いざ計測!。

「おお〜〜」

0.2g、たった0.2gですが、とうとう30gの大台を突破しました!。

「やった〜」

たったの0.2gですが、ほんの1g伸ばす事が来年1年間の目標と定めていた訳ですから、
この0.2gは私にとって、とてつもなく大きな飛躍です!。

諦めていたのに、思わぬ形で逆転勝利してしまった様な感じ。
まさかこんな形でひとつの夢がかなうとは・・・・。

「う〜ん」

いろいろな実験を積み重ねて来て、その成果を試すための最初の腕試しの年に、このような結果に恵まれようとは・・・・運か、奇跡か、はたまた実力か。冬が来る前、そして春になってからもうひと伸びすれば、もしかしたら最後の夢がかなう可能性も。

予定では菌糸ビン交換はこれが最後。次回会うのは純白の幼虫から黒金の成虫に変わった後。スケールの上でひとつの夢をかなえてくれたこの幼虫は、ノギスの間でどんな雄姿を見せてくれるでしょうか。楽しみです。




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