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2008年05月03日 中間テスト
さかのぼる事、2週間。
スギ花粉の飛散も終盤に差し掛かった4月の中旬から、今年のペアリングが始まりました。

「4月の中旬?」

そう、いつもはもっと遅い時期からペアリングを開始します。
理由は温度管理を徹底するため。

温度を上げるだけなら、洋服ダンスを改造した温室で、菌糸ビンの100本や200本は軽く温度管理できます。しかし温度を下げるとなると、改造した冷蔵庫とワインセラーをフルに活用したとしても、100本ぐらいが関の山。

そういった設備で、最も効率良く温度管理ができる方法として考え付いたのが、秋の割り出しでした。秋に割り出せば、翌年の初夏まで温度を下げる必要はありませんし、翌年の初夏には、幼虫の成長はほぼ完了しておりますので、初夏以降に温度管理が出来なくなっても、成長データにほとんど影響がでません。

ワインセラーや冷蔵庫に入りきれなかった幼虫たちが、猛暑や冷夏の影響を受けたのでは、年度を超えての比較ができませんもんね。と、言うわけで、ここ数年はずっと秋の割り出しをしてまいりました。

年度間のデータを比較するために一番苦慮したのが種親の選定。
オスは70mm、メスは42mmという標準的な大きさの同じ種親を使用するようにし、もし毎年起用していた種親が死んでしまった場合は、近い血統から同じような体格の個体を厳選し、起用しておりました。

しかし、オス70mm、メス42mmという種親は、データを取る上では非常に有効でしたが、
本来の目的である「大型個体の育成」からは、かなりかけ離れた種親でした。

「一発、大きいのを狙ってみたいなぁ」

大型のオスとメスと掛け合わせる・・・・。オス70mmXメス42mmでは不可能とも思えるような大型個体が羽化する可能性が高まります。

「しかし、年度間のデータ比較が出来なくなっちゃうよなぁ」

今年は湿度についてもう少し掘り下げてみて、来年は温度について考えてみる計画でした。
単純に「テスト計画を1年先伸ばし」と考えれば良いようですが、昨年度の湿度テストに起用した種親は今年は生きているものの、来年まで生きていてくれる保障はありません。
そうなると、2年計画の湿度テストが別の種親でのテストになってしまう可能性も・・・・。

「どうしよう」

オオクワガタの飼育も今年で7年目。飼育のノウハウもかなり貯まってきていますので、「この辺で一度腕試しをしてみたい」と言う気持ちがひとたび心の中で生まれると、ドンドン膨らんで行き、もはや抑えられるものではなくなってしまいました。

「種親たちはまだ2年目。来年も生きているよ、きっと」

自分を納得させるためだけの希望的観測を口実に、今年は大型育成への挑戦の年にする事にいたしました。いわばブリーダーとしての中間テストです。

そうと決まれば善は急げ。ペアリングなどの日程を決めなくてはなりません。
24℃の温度管理と言う枠にとらわれず、育ち盛りの幼虫たちは真夏の高温多湿の環境下で、自然界と同じようにスクスクと育ってもらいたいですし、冬眠を経験させて無理なく羽化へと導きたい。

「産卵開始は5月の上旬がいいかな」

自然界より少し早いかな?。
でも、冬までに十分成長させるには、これぐらいがちょうど良いでしょう。

そして一番重要なのが、なんと言っても種親。こいつの遺伝子で、かなりの部分が決まってしまうと言っても過言ではないでしょう。ブリーダーは遺伝子が持っている潜在能力を最大限に引き出すのが役目。潜在能力が低い遺伝子では、いくらブリーダーががんばっても限界があるってもんです。

「77mmと78mmか・・・・」

手元のオオクワガタで、現在一番大きいやつは78mm。こいつを種親にしたい所ですが、羽化したのは去年の12月。

もちろん温室にずっと入れていましたので、4月の時点ですでに後食を始めていますが、生殖能力があるのかどうは不安。

もう1頭は77mm。こちらは去年の7月に羽化し、一冬越していますので何も問題ないでしょう。

「どっちにする?」

慎重かつ冷静ないつもの「よしだっち」なら、77mmにしたしょう。
しかし、今回は迷わず78mmを選択しました。なんてったって今年は「挑戦」ですもんね、奇跡の大型育成を目指しているのですから、この程度のリスクを恐れていては大願成就なんてありえません!。いったれ、いったれぇ〜。

とは言うものの、イケイケドンドンってあまり良い思い出が無いんだよなぁ(^_^;)

メスは47mm〜49mmまでの4頭を選抜。
メス1頭につき3日間オスと同居。念のため、さらに1日ずつオスと同居させました。

「大丈夫だよなぁ」

普段なら一週間は同居させるのですが、ペアリングを思い立ったのが4月の上旬。
メスたちの冬眠明けを確認する期間が必要だったため、5月から産卵セット投入と言うスケジュールを遂行するためにはこれが限界でした。

並々ならぬ決意を胸に秘めているだけに、交尾が無事終了しているかとても不安。
ペアリング中、きちんと交尾しているかどうか観察したかったのですが、ただでさえ短い同居期間なのに、私のくだらない不安のために、交尾の機会をつぶしてしまってはと思い、のぞきたい気持ちをグッとこらえておりました。

オスの若さもリスク。同居期間の短さもリスク。う〜ん、段々と神がかりになってきた(^_^;)

さて、ストレスが、いっぱいいっぱい溜まったペアリング期間が終わると、次は産卵セット。

最近は産卵木の前処理にも、かなりの労力を使っています。
まず、購入した産卵木は直射日光の当たる窓辺に並べて1年間、芯まで完全乾燥。表面だけでなく中にいる虫まで完全に追い出します。そのあと芯のある産卵木は水分を含ませ、やわらかくなるまで寝かせて芯を取り、そして使用する前に衣装ケースへ詰め込み最後の仕上げを行います。

衣装ケースでは、産卵木に適度な水分を含ませ、水分が蒸発しないようにビニールをかぶせ、さらに衣装ケースのフタをします。

そして、20℃前後で3ヶ月くらい管理していると、いい感じに白枯れします。

この菌糸は、たぶん菌床から飛散したオオヒラタケの菌糸だと思うのですが・・・・もしかしたら産卵木に付いて来たシイタケの菌糸だったりして。

「さて、今回はどんな感じの産卵セットにしようか・・・」

いつもなら大き目のケースに太い産卵木をドカンと入れて1ヶ月間産卵。メスを取り出しさらに1ヶ月たったら割り出しと言うという、かなりダイナミックな産卵セットです。

1ヶ月間の長期にわたる産卵だと、最後に産卵された卵が孵化するのを待っていたら、最初に孵化した幼虫は、産卵木と言う栄養価の低い食べ物で、長期にわたり飢えをしのがなくてはなりません。

今回の目標は大型育成。となれば、大型に向けて良いと思われる事は、たとえどんな些細な事だろうとドンドン取り入れていきたい。

「となると、やっぱ一本ずつか・・・」

一本の産卵木に一週間産卵させて、その産卵木を取り出し、別の産卵木を入れる。

一週間で産卵木を取り出せば、最初に産んだ卵と最後に生んだ卵との差は一週間。
全ての幼虫を、生まれてから間もない期間で栄養価の高い菌糸ビンに移せます。
今回はこの方法でいきましょう。

「取り出した産卵木はどうする?」

戦略は決まりましたが戦術で躓いた。
取り出した産卵木をその辺に置いていたら乾燥してしまう。ビニールに包むか?。いや、ビニールに包んだら乾燥は防げるが酸欠が怖い。それに幼虫が産卵木から落ちてしまったら助かる見込みが無い。

「やはり産卵木を別のケースに移して埋め戻すのが一番良い方法か・・・」

しかし産卵の予定は1ヶ月間。メスは4頭いますので、合計16本の産卵木が出てきます。
16本の産卵木を保管するためのケースを買うとなると、またまた出費が・・・・(^_^;)

「あっ、そうだ。飼育ケース(小)がある」

オオクワガタを飼育し始めた当初。羽化したオオクワガタのオスを入れるために大量購入した飼育ケース(小)。アゴでフタをはさんでしまうという事故が続発したため、100円ショップで買ってきたケースにその座を奪われ、今は物置の肥やしとなっているやつがありました。

大きな産卵木は入らないけど、中くらいの産卵木ならちょうどいいみたい。

飼育ケース(小)に入る産卵木を選んで産卵セット作りの開始です。

産卵セットに使用したケースは、いつもの大き目のケースではなくて飼育ケース(大)。

産卵木は一本だけですので、これくらいの大きさのケースで良いでしょう。

飼育ケースと産卵木にはさまれて身動きが取れなくなるバカ者はいないと思いますが、念のため2cmほどマットを敷いて、その上に産卵木を置きました。
産卵木を8分通りマットで埋めて、地表に転倒死防止用の樹皮をちりばめました。

手塩にかけて育てあげた最高の産卵木です。
オスさえ生殖能力があれば、産卵に失敗する事は無いと思うのですが・・・・。

ゼリーを置いて、メスを投入。
うまく産卵してくれるでしょうか。

1週間産卵させたあと産卵木を取り出し、3週間寝かせたあと割り出しの予定です。

最初の割り出しは1ヵ月後。その時まで交尾がうまく行ったかどうかは分かりません。
もし交尾に失敗していたとしたら、一気にペアリングまで逆戻りです。そうなるとスケジュールはめちゃくちゃ。季節を考えると大型を狙えるような時期ではなくなってしまいます。

う〜ん、やっぱりサイズは小さくても確実なオスを選んでおいた方が良かったかなぁ〜(^_^;)


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