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2007年6月11日 ペアリングから産卵セット
今年もペアリングの季節がやってまいりました。
最近は、羽化した成虫を掘り出してデータを記録するといった、ともすると単調になりがちな作業が続いておりましたので、久々にワクワクしています。

でも、ペアリングについてちょっと気になる事があります。

「産卵直前のメスにカブトムシなどの蛹を与えると産卵数が増える」といった情報が、まことしやかにネット上で流れていました。都市伝説ならぬネット伝説だろうと思っておりましたが、実際、ミルワームの蛹を使って実験してみたところ、多少ではありますが産卵実績が上がったんです。

「伝説は本当であった」という、まるで三流映画のサブタイトルのようなオチで、めでたしめでたしなら良いのですが、この実験結果を裏返してみると、市販されているゼリーへ懐疑的な目を向けざるを得ない状態になってしまいます。

実は前々から市販されているゼリーには、あまり良い印象を持っていませんでした。

「たくさん産む」「長生きする」「元気になる」など、クワガタ相手ではなく人間相手の食品なら完全に違法になるような宣伝文句。そして「高タンパク」「高カロリー」「○○配合」と、でかでかと書いておきながら、その数値は一切非公開。

「高」なら何に対して「高」なのか、「配合」ならどれくらい「配合」したのか、少なくてもそれくらいのデータは公表してもいいんじゃない?。って、年取ると愚痴が多くなって困りますね(笑)。

とは言うものの、最近ゼリーは驚くほど安くなっていますので、少しでも多くの利益を上げるためにゼリーの質をドンドン落としているため、データを公表できないんじゃないかと勘ぐってしまいます(^^ゞ

少しでもたくさん売ろうと、法律を無視した宣伝文句を使うのは100歩譲って目をつぶるにしても、利益のためにゼリーの質を落とされたんじゃ、たまったもんじゃないです。

「レモン10個分」「そっちが10個分ならウチは20個分」「なら思い切ってレモン100個分だ」ってな感じで、価格や宣伝文句ではなく配合量などの内容で競い合ってもらいたいもんです。
でもゼリーって、驚くほど水分量が多いし、昆虫ゼリーの単価を考慮すると、栄養成分を公開したらビックリするような数字が出て来そうで怖い(^_^;)

とは言うものの、オオクワガタの飼育には市販のゼリーは必要不可欠ですし、安くて便利な事には変わりありません。でも、産卵直前のメスには多少値段が高くても栄養のあるものを与え、たくさん卵を産んでもらいたいと思うのは致し方ない事ですよね。

「また、ミルワームの蛹を与えようか」

しかし、ミルワームは生き物ですので、ペアリングのタイミングに合わせて用意するのはとても大変。

「となると、やはりカブトムシか?」

この時期、ペットショップに行けばカブトムシの蛹は手に入らなくても幼虫なら簡単に手に入ります。オオクワガタのメスは幼虫でも食べてしまうそうですので、その辺は問題ないのですが、やはり子供の頃、あんなに憧れていたカブトムシを、それを生きたままエサとして与えるというのは、かなり抵抗を感じます。

「さて、どうしたもんか・・・・」

しかし、そんな悩みの解決策の1つを思わぬところで発見しました。

今年の春先、オオクワガタの成虫に今年初めてのゼリーを与えようとした時、1頭の年老いたオスが冬の間に寿命を迎えて死んでしまっていました。しかし、死んだのはつい最近のようで、まだ体の節々は硬い状態のままでした。

「こいつを冷凍保存しておけば・・・・」

オオクワガタのメスが、仲間の死体を食べているのは何度も見かけています。この新鮮なオスの亡骸を冷凍保存し、ペアリングの時にメスに与えれば、死んだオスは無駄にならず次世代に引き継がれ、カブトムシの幼虫を犠牲にする事も無く、産卵数を増やす事が出来そう。
そう考え、オスの亡骸を小さなタッパーに入れて、冷凍保存しておきました。

そして月日は流れ、ペアリング開始から5日目。

もう交尾は十分済ませ、メスは交尾後の栄養補給もほぼ終了。
すぐにでも産卵セットに移せる状態になっています。

この状態であのオスの亡骸を投入です。
ペアリング当初から亡骸を投入しなかったのは、もちろん産卵直前のメスにとって仲間の亡骸が栄養補給の上で重要であるかどうか確認したかったから。

今回ペアリングしたのは4組。亡骸を4つ用意できればよかったのですが、幸か不幸か用意できた亡骸は1つ。

1つだけじゃ実験として成立しないので、亡骸を2つに分けて実験です。

メスが亡骸を食べて栄養を付けてくれれば、それだけで私の中では完結なのですが、ホームページにアップする都合上、比較のためにゼリーも新しいものに交換。

この状態で、また真っ暗な温室に戻し、そして丸3日がたちました。

さあ、ある程度お腹が満たされた状態のメスのオオクワガタは、仲間の亡骸にどのような反応を示したのでしょう。久々に温室の扉を開けて、中からペアリングケースを取り出し、フタを開けてみると・・・・


「ありゃ」

30gのカップの中に入れておいた亡骸は、カップから出され、ばらばらになってあちこちに散らばっています。

ゼリーの方も、原型が残らない程度に食べられております。
こちらはオスが食べた可能性も。

亡骸は散らかされただけなのでしょうか。1つ1つ拾い集め、調べてみると・・・・


画像にポインタを合わせてみよう。クリックしちゃダメだよ
散らかされただけじゃありませんでした。

殻(外骨格)はそのままの形で残っていますが、中は完全にからっぽ。内臓や筋肉はすっかり食べられてしまい、空洞にマットが入り込んでいる状態です(画像にポインタを合わせてみよう。クリックしちゃダメだよ)。

足や触覚などは、細かく噛み砕かれてしまったのでしょうか、落ちていたものを拾い集めても、再現するには程遠い量しか見つける事ができませんでした。

この実験に対する考察で、いろいろ書きたい事はありますが、ペアリング中の栄養補給という事で実験としては完璧と言えるものではないですし、書きたい考察も愚痴ばかりになりそうなのでやめときます(笑)。

でも、「産卵前のメスに良い栄養補給が出来ました」という、小学3年生の夏休みの絵日記程度の感想くらいは書いておきましょう。

さて、1週間のペアリングも終り。その後さらに1週間の休息日を設けてから産卵セットへの投入です。

今回は産卵セットでも実験。
実験といっても、前の実験同様、疑問というか不安というか、ちょっと引っかかっているものを取り除くための、お気楽実験です。

オオクワガタのメスが朽木に産卵するのは、朽木が産卵場所に適しているからでしょ。
朽木というのは朽ちているから朽木。朽ちているという事は当然、何らかの菌類によって分解が始まっているという事。

朽木を電子レンジでチンしてしまったら、当然朽木の付いている菌類は全滅。

「菌類のいない木を、オオクワガタのメスは朽木として認識するのだろうか?」

もちろん、電子レンジで殺菌した朽木に対しても産卵実績はあります。でも、もしかしたらそれはマットにいた菌類が産卵木に移った事によるものだとしたら、産卵木に菌類が移るまでの時間を無駄にしている可能性も。

しかし、水分を含ませ電子レンジで加熱殺菌した後の産卵木は、ホクホクと、とても柔らかくなっています。この柔らかさはオオクワガタにとって、とても魅力的である可能性もあります。

「そんな細かい事、どうでもいいよ」って感じですけど、ちょっとでも気になると、そのまま見過ごす事が出来ないのが私の性格。そんなに手間のかかる事でもないので実験してみようと思います。


画像にポインタを合わせてみよう。クリックしちゃダメだよ
大きさも硬さも同じ産卵木を2組用意し、一方は水分を含ませた後、電子レンジで5分間加熱殺菌。もう一方はもちろん電子レンジで加熱殺菌無し。

見分けが付かなくなってしまわないように、ケースに「無」と「有」のシールを貼っておきました。

どんな結果が出ても、大騒ぎする事ではありませんが、どんな結果が出ても、私の好奇心を満足してくれるはずです。
2ヵ月後の割り出しの楽しみがひとつ増えただけでも十分ですよね。


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