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2007年8月26日 割り出し
暑い暑い、今年の夏は暑い。

割り出しともなると、ナタを振り回す事もありますので、今までは屋外での作業でしたが、この気温とこの直射日光では、私が耐えられても割り出された幼虫が耐え切れないと判断し、前代未聞、クーラーの効いた部屋での割り出しになりました。

ナタなどを使った割り出しは、とても室内では出来ませんが、ウチではメチャクチャ柔らかい産卵木を使用しておりますので、ほとんどの産卵木が手で裂く事が出来ます。芯が残っていて裂く事が出来なかった産卵木だけ、屋外で割り出すと言う事で作業開始です。

産卵セットはというと・・・・

今年は例年に比べ産卵木の削られ方が極端に激しいのが特徴。

産卵痕がはっきりせずに、産卵しているかどうか不安になるようなセットはひとつもありませんでした。

これも猛暑の影響かな(笑)。

「割り出し後の菌糸ビンは・・・・」

前回のブリーディングで、菌床ブロック丸ごと1つという広いスペースであっても、複数で飼育すると大きくならないという事が発覚しました。

「多分、音で仲間の存在を認識しているんだろうな」

音で仲間の存在を認識しているとなると、例えばプリンカップのような容器に個別で飼育したとしても、それを重ねてしまっては、お互いの活動音がじかに伝わってしまい、個別飼育でありながら個別飼育ではないという結果になってしまいます。

そう言われてみると以前、プリンカップを重ねて飼育していた時、底の方の菌床を食べ終えているにもかかわらず、上の方へと食べ上がって行かなかった幼虫が多数存在したのを思い出しました。

「あれは上のプリンカップにいる幼虫の存在が気になっていたのかなぁ」。

オオクワガタの飼育は奥が深いですね。

割り出し頭数が予定より少なくても、金銭的被害を最小限に抑えられるプリンカップが、割り出し後の飼育に最も適していると思われます。

私の場合、割り出し時に100本程度の菌糸ビンを用意しますので、もし50頭しか割り出せなかったとすると、50本の菌糸ビンが無駄になってしまいます。無駄になった50本が、作るのに手間がかからずコストも安いプリンカップなら諦めがつきますが、作るのが大変な上、コストも高い大きな菌糸ビンでは目が当てられないですもんね。

プリンカップというのは重ねるとスペースを取らないという利点もありましたが、重ねるのは良くないとなると、事情はちょっと変わってきます。

「今回はハチミツ600で行こうかな」

省スペースの利点が薄くなっただけではありません。ガラスビンの方がプリンカップよりずっと静粛性に優れている点を考えると、多少の金銭的リスクは承知の上で、割り出し後はハチミツ600で飼育する事にした方が良さそうです。壁が薄くて隣人の生活音が聞こえてきてしまうようなマンションでは落ち着いた生活が出来ませんもんね。

いつもお世話になっている月夜野きのこ園さんから菌床ブロックを1ケース(9ブロック)購入し、ハチミツ600で80本程度の菌糸ビンを作り、割り出しに望みました。産卵痕から推測し、本当は100本くらい用意しても良かったんだけど、そこまで強気にはなれませんでした(^^ゞ

さあ、割り出し開始です。

4組の産卵セット。各産卵セットには極太の産卵木が4本。超柔らか目をチョイスしておりますので、高温多湿のケース内に2ヶ月間放置されて、ほぼ芯までボロボロになっています。産卵ケースから産卵木を引き抜くと、産卵木は原形をとどめているのがやっとの状態。
ちょっと力を加えるとボロボロと崩れてしまます。

産卵セットから取り出した産卵木。右と左では何かが違います。さあ、なにが違うでしょう。

大きさ?硬さ?。

いえいえ、左が電子レンジで処理した産卵木。右が処理しなかった産卵木。

まあ、違いが出るかどうか確かめてみたかっただけの、ついでのような実験です。
まずは電子レンジで処理していない産卵木から割り出しです。

「いい感じにふやけている」

さすがに1年間手塩にかけて朽ちさせた産卵木です。
水分を含んで芯まで完璧にふやけ、道具を使わなくても手だけで十分裂く事が出来ます。

とは言うものの、それなりに硬さも保っていてまさに理想の産卵木。今までの経験から言えばオオクワガタのメスが好んで産卵し、幼虫がザクザク出て来る事が期待される産卵木です。

まずは、両手で持って中心から真っ二つに裂いて中の状態を確認する。

「ええっ!」

なんとそこには幼虫の姿だけでなく食痕さえも存在せず、クヌギの美しい木目が整然と並んでいるだけ。


二つに裂いた片割れを、さらに二つに裂いてみましたが、そこにあったのも木目だけ。

「そんなぁ」

どんどん細かくして行きますが、幼虫の姿はまったく確認できません。それどころか、この産卵木にはメスが削った痕さえまったく無い事が分かってきました。

「産卵失敗?」

いえいえ、ところどころで2頭ほど幼虫がおりましたので、失敗ではないようです。

しかしこの幼虫たちは、大きさや食痕から推測して、別の産卵木で生まれた幼虫がマットの中を移動してこの産卵木の到達した典型ともいえるような幼虫でした。

とりあえず、他の産卵木には産卵している事は分かったので、気を落とさず電子レンジで処理した2本目の産卵木の割り出しを開始。

するとどうでしょう、こちらの産卵木にはメスが産卵した痕が残っているものの、出てきた幼虫はたったの6頭。直径20cmにもなろうかという産卵木です。産卵痕があるにもかかわらず6頭とはあまりにも少なすぎます。

「猛暑の影響で、産卵数が少ないのか?」

例年ならこれだけ太くて状態の良い産卵木を4本も入れれば30頭以上は確実に割り出せるはずです。それなのに半分割り出しが終わった状態で、出てきたのはたったの8頭。
ちょっと不安になってきました。

残ったのは電子レンジで処理していない2本の産卵木。そのうちの1本を手にとって二つに裂いてみる。するとどうでしょう、今までの事がウソのように色鮮やかな幼虫が3頭も現れ、さらに多数の幼虫の存在を予感させる食痕があちこちに。

「おお、いた。こっちにもいた」

産卵木を裂くたびに、幼虫がゴロゴロと落ちてしまうほどの盛況振り。

2本の産卵木を割り出して、粒揃いの幼虫が20頭も割り出せました。

マットの中にも幼虫が4頭いましたので、割り出した幼虫は全部で32頭。
なかなか良いペースです。

2セット目の割り出し。

こちらは1セット目をしのぐ盛況ぶり。裂くとボロボロ、裂くとボロボロと、あとからあとから幼虫が出てきて最終的には45頭。電子レンジで処理した産卵木からは8頭。処理しなかった産卵木からは32頭。マットから5頭でした。

「やはり、電子レンジ処理は良くないのだろうか」

電子レンジで処理していない産卵木からは1円玉くらいの粒揃いの幼虫が出てくる中、電子レンジで処理した産卵木からパチンコ玉にも満たない大きさの幼虫が何頭か出てきました。

これは、メスは電子レンジで処理していない産卵木から産卵し始めたという証拠です。

そして3セット目も13対8と、オオクワガタのメスは、電子レンジで処理していない産卵木を好む傾向があると言う実験結果になりました。

乾燥しているとはいえ、産卵木には菌類をはじめ、沢山の微生物が休眠状態で生存していることは確かです。産卵木が水分を含めば休眠中の生物たちが活動を再開します。
小さな産卵木も彼らにとっては広大な世界。その世界で独立した生態系が構築された時、オオクワガタのメスは「この木は朽ちている」と判断しているのかもしれません。もしそうだとすると、電子レンジでその生態系を完全破壊してしまうと言うのは、単なる愚行という事になってしまいます。

そこまで行かないにしても、朽木には朽木を分解する微生物が存在しているはずです。
オオクワガタの幼虫は朽木と共にその微生物を体内に取り込んで、消化の手助けに使っていると思われます。ですので、電子レンジで朽木に付いた微生物を殺してしまった産卵木は、オオクワガタのメスにとって、産卵に適さない朽木になってしまった可能性もあります。

逆に言えば、朽木を分解する微生物が沢山住んでいるとオオクワガタのメスに思わす事が出来れば、産卵失敗の確率を低く抑える事が出来るかも。オオクワガタのメスは微生物の存在を調査しているのでしょうか?。もし調査しているとしたら何を基準に調査しているのでしょうか?
その基準がグルタミン酸やグアニル酸に繋がっているのでしょうか?。
疑問は尽きる事がありません。

4セット目。

このセットも同じ結果が出るのでしょうか・・・・と思ったら、なんと菌糸ビンが残り4本になってしまいました。80本程度ではさすがに少なすぎましたね(^^ゞ
4セット目の割り出しは来週に持越しです。

電子レンジの殺菌については、今回このような結果になりましたが、まだまだサンプル不足です。たった3セットでは偶然と言う事も十分考えられますので、あと2年くらい実験を継続していくつもりです。

さて、今年は前々から実験してみたかった菌床についての疑問の検証です。
ずいぶん長い間、実験してみたかったのですが、他にもやりたい実験が沢山あって、ずっと後回しになっていた実験です。


2006年11月に購入した菌床ブロック。2007年4月に購入した菌床ブロック。そして本日到着したばかりの新鮮な菌床ブロック。この3つの菌床ブロックを使い、菌床ブロック飼育をしたら、どのブロックの幼虫が一番大きくなるでしょう。

いつも疑問に思っていたんですよね。オガコの粒が残っているような新しい菌床より、オガコの分解が進んだ古い菌床の方がオオクワガタの幼虫飼育に向いているんじゃないかって。

分解が進んでいる方が幼虫にとって消化吸収が良いでしょうし、オガコではなく菌糸自体を栄養にしているのなら、菌糸が完全に回りきった古い菌床の方が栄養価が高いはずです。

実際、購入したばかりの菌床はオガコの粒が残っていますし、ブロックの中はオガコそのものの状態です。

しかし、2006年11月から保管していた菌床はオガコの粒はなくなり、中の色は菌糸の白が増していて、ねっとりとした粘土のような状態になっています。

さあ、ビンテージ物の菌床ブロックが勝つか、フレッシュな菌床ブロックが勝つか勝負です。

ついでといっては何ですが、大きな菌糸ビンと小さな菌糸ビンでの成長比較実験も継続です。

現在、割り出し後、大きな菌糸ビンに入れた方が大きく育つ傾向が現れておりますので、それを確定させるためのデータ集め的実験。

なんだかんだ言っても、コツコツと地道な実験の積み重ねでしか、真実は語れませんからね。

【2007年9月1日 追記】

4セット目の割り出し結果は、電子レンジで処理した産卵木から16頭、電子レンジで処理していない産卵木から11頭、マットから2頭という結果になりました。

電子レンジで処理した産卵木から一番多く割り出せただけでなく、幼虫の大きさから判断し、オオクワガタのメスは電子レンジで処理した産卵木から産卵を開始したと予想されます。

なんか、微妙な実験結果になってしまいました(^_^;)


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