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ミジンコの繁殖


金魚や熱帯魚の稚魚のエサ用にミジンコを繁殖させるための、初心者向きの方法です。

都会のお住まいで、生きたミジンコを手に入れるのが難しい方を対象に、ミジンコの増やし方
から紹介いたします。田んぼの用水路などが近くにあり、ミジンコなど網ですくえばいくらでも
手に入る方は、ある程度読み飛ばし、ミジンコを増やした後の管理方法あたりからお読みくだ
さい。

まず、ここで繁殖方法をご紹介するミジンコについて少々。
単に、ミジンコと言っても、大きく3種類ほどに分けられます。

「ミジンコ」と呼ばれているもの

人間にたとえると立ち泳ぎの状態で、沈まないように両腕で平泳ぎを繰り返しているタイプのミジンコ。教科書などでもおなじみのお腹が出っ張り、ダルマに似た、いわゆる「ミジンコ」です。
「ケンミジンコ」と呼ばれているもの

比較的小さく細長い体をしていて、卵を両脇に抱えている個体(写真がそれ)もいます。動きはピョコピョコピョコと、まるでこかまい折れ線グラフを描くようにすばやく動き、その素早さは瞬間移動しているようにさえ見えます。
「カイミジンコ」などと呼ばれているもの

泳いでいるよりも這い回っている事が多いタイプのミジンコ。ハチのようにプ〜〜ンと飛んでは、水草などにピタッと止まり、ちょこまかと、かなり速いスピードで這い回っています。

ここで飼い方をご紹介するのは、一般的に「ミジンコ」と呼ばれているミジンコ仲間です。
「ケンミジンコ」は多少飼い方が似ておりますが、「カイミジンコ」は飼い方がまったく違うため
注意が必要です。

まず、ミジンコの入手方法ですが、都会の真ん中でも公園の池などを探せば、意外と簡単に
入手できます(詳しくは「ミジンコの飼育」の冒頭をご覧ください)。とは言うものの、田んぼの
用水路などに比べると圧倒的に生息密度が低いので、1時間ほど粘っても、採取できるのは
5匹程度でしょう。

ミジンコは環境の良い場所では、メスがメスのみを産んで増えていくため、雌雄のバランスを
考慮して採取する必要は有りません。採取したミジンコは、ほぼ100%単独で繁殖可能なメス
になります。

ミジンコを採取する時に5mm程度のタニシも2、3匹採取して持ち帰りましょう。

その5匹を元に、ミジンコを増やしていきます。気の長い話のように思えますが、ミジンコは増
えるスピードが非常に早いので、水温にもよりますが、真夏なら2週間ほどで10リットルのバ
ケツがミジンコでうじゃうじゃといった状態にまで増やす事が可能です。

ミジンコを飼育する容器ですが、ミジンコには基本的に水に溶かしたエサを与えますので、あ
まり大きな容器を用意すると、溶かすエサの量も増えてしまいますので、飼育するミジンコの
数に合った容器が必要です。

ミジンコが少ないうちは、容量が850gのイチゴジャムの容器がお勧めです。

他にも100円ショップなどで売っている飼育ケースなどでも良いと思います。

容器に入れる水ですが、水道水には殺菌用のカルキ(塩素)が含まれているため、人間には無害ですが、ミジンコはすぐに死んでしまいます。

ハイポなど、薬品でカルキ抜きした水でも、ミジンコは死んでしまいました。ですので、たらいな
どで汲み置きした水を使うようにしましょう。夏など日差しが強い時期でしたら1日、冬や曇天
の場合は2、3日、直射日光の当たる場所に汲み置きしておけばカルキは抜けます。

浄水器などでもカルキを抜く事は可能です。しかし、浄水器にも沢山の種類がありますので、全ての浄水器でミジンコが住める水が作れるかどうかはわかりません。

ちなみに、私は写真のタイプの浄水器「トレビーノ MK203X」  を使用しておりますが、この浄水器でしたらミジンコが住める水を作れます。

ビンに入れる水は、深いとビンの底まで酸素が届かなくなりますし、浅いとミジンコが泳ぎにく
いので、大体10cm程度が良いと思います。

捕まえてきた5匹程度のミジンコを、スポイト(ピペット)などを使って用意した飼育ビンへ移し
ます。捕まえた場所の水には、いろいろな生き物の卵が混じっている可能性が高いので、移
す水はなるべく少なくなるよう心がけてください。

スポイトはエサをあげたりミジンコを移したり、飼育ケースを掃除したりと、ミジンコを飼育する上で何かと使用しますので、用意しておいたほうが便利です。

100円ショップなどではなかなか見かけませんが、ペットショップなどの熱帯魚コーナーでは500円ほどで売られています。

長さ30cm程度。容量は10ccぐらいのものが使いやすいと思います。

ミジンコを移したら、ミジンコと一緒に採取してきたタニシも飼育ビンに移します。

ビンの壁面に藻などが繁殖すると、それにミジンコが絡まって死んでしまう事故が多発します。

タニシは藻などを食べ、ビンの壁面を綺麗にしてくれるとても有能な掃除係です。

エサは「ほうれん草パウダー」または「青汁」に、「ドライイースト」をブレンドしたものが良いでし
ょう。

「ほうれん草パウダー」 は、ミジンコの繁殖スピードや、沈殿してしまう食べ残しの量などを総合的に判断して、私が試したものの中では、ミジンコの繁殖に一番適しエサです。

ただ、近所のお店などではほとんど見かける事がありませんので、ネットでの入手となってしまいます。

ちなみに、こちらのお店 ならメール便で対応してくれますので、送料が比較的安く済みます。
ミジンコが増え始めると40g入りだとすぐになくなってしまいますので、100g入りがお勧めで
す。

「青汁パウダー」は沈殿物の量や、ミジンコの繁殖のスピードなど、「ほうれん草パウダー」には多少劣りますが、近所のドラッグストアーなどで入手できる便利さと、価格の安さが魅力です。

単に青汁といっても原料はまちまちのようで、私が使用した写真の青汁は大麦若葉100%と書いてありました。

「ほうれん草パウダー」にしても「青汁パウダー」にしても、水に含まれる塩素のように人間にと
ってはまったく無害で、かつ基準値を余裕でクリアーしているレベルの農薬でも、ミジンコにと
っては命取りになってしまう事があります。上記の製品ではミジンコの健康が損なわれる事は
ありませんでしたが、上記製品以外を使い、ミジンコがうまく育たなかった場合は、エサを変え
てみる必要があると思います。

「ほうれん草パウダー」や「青汁」は、与えすぎによる弊害が低いエサですが、それでもミジン
コが少ないうちは、エサの与えすぎには十分注意してください。

与える量は耳カキ1杯程度。これを10t程度の水に良く溶かして与えます。水は飼育ビンからスポイトで取った水を使います。

混ぜる時は300g入りのジャムの容器などにエサと水を入れ、フタをしてからカクテルシェーカーのようにシャカシャカ振れば均一に良く溶けます。

エサの水溶液を飼育ビンに流しいれた後、スポイトで飼育ビンの中の水を軽くシュッと吹いて
あげると、飼育ビン全体にエサが広がります。

ビンの水を良く見ると、軽くグリーンに濁る程度。ミジンコの少ないうちはこれくらいの濁りを目安にエサを与えます。

半日〜1日ぐらいすると、水の濁りがなくなりますので、また同じ要領でエサを与えます。

飼育のコツはエサを与えすぎない事です。

1日以上濁っている状態が続くようですと、エサの腐敗が始まり、ビンの中が酸欠になり、ミジンコは死なないものの、繁殖のスピードは確実に遅くなります。

また、前回与えたエサを食べ尽くさないうちに次のエサを与える事を繰り返した場合も、水が
腐りやすくなります。水の濁りがなくなり、エサが食べ尽くされている事を確認してから次のエ
サを入れるようにしましょう。

エサが適量なら、1週間程度で水が腐敗する事はありませんが、もし、腐敗してしまった場合は、気が付いた時にでも、スポイトを使ってビン内に酸素を送ってあげると、腐敗の解消が早くなります。

この時、スポイトでビン内の水を吸い取り、そして、その水が空気を巻き込むように、水面に強く吹きつけると、ビン内に効率よく酸素を送る事が出来ます。

ミジンコにとっては、かなり迷惑な話ですが、この程度の事で死ぬ事はありません。

さらに腐敗が進んでしまい、飼育ビンから悪臭がするようでしたら、ミジンコが上層で泳いでい
る時を見計らって、飼育ビンの底に溜まった沈殿物をスポイトで取り出します。

この時、ミジンコを吸い取らないよう、水も半分ぐらい取り出し、カルキ抜きした新鮮な水と入
れ替えます。1日1回、腐敗臭がなくなるまでこの作業を繰り返しましょう。

ビンの水は富栄養化して藻などが生えやすい状態になりますので、日の当たる場所での管理
は避け、直射日光は当たらないものの、昼間はそれなりに明るい室内などに置きましょう。

ミジンコは環境の良い場所では、卵ではなく子供を生みますので、水温や採取したミジンコの成長具合にもよりますが、翌日には生まれたばかりの小さなミジンコが観察できると思います。

夏の暑い時期でしたら、1週間後にはビンの中が手狭になる程度まで増えていると思いますので、ミジンコを大きなケースに移住させます。

飼育ケースは幅30cm程度のものが良いと思います。カルキ抜きした水を飼育ケースに入
れ、ミジンコを飼育している飼育ビンの横に1日程度置いて水温をなじませます。

水温がなじんだら、飼育ビンのミジンコを飼育ケースに移住させます。

ミジンコは明るい光に向かって泳ぐ習性がありますので、明るい場所に2、3分飼育ビンを置き、ミジンコが水面に上がってきたところで、飼育ビンのミジンコを水ごと飼育ケースに移します。

この時、ビンの底に溜まった沈殿物を飼育ケースに移してしまわないように注意しましょう。

飼育ビンの沈殿物の中にも多少ミジンコが残っていますので、飼育ビンにはカルキ抜きした
水を補充して、しばらくの間、今まで通り飼育します。飼育ケースの水が合わないなどの理由
で、思わぬ全滅を招いてしまった時のための保険になります。数日して、飼育ビン内で増えた
ミジンコを、また飼育ケースに追加移住させれば、ケース内のミジンコの増えるスピードが上
がります。

飼育ケースは広いので、5mm程度のタニシなら5匹ほど必要となります。飼育ケース内をよ
り良い環境に保ち、ミジンコの繁殖を促進させるにはエアレーションも必要となります。

エアレーションは、あまり強すぎるとミジンコの食事や繁殖を阻害してしまいますので、「2分岐」などを使用し、エアーの量を調整してください。

エアーの量は、エアストーンをケースの中央に置いた時、ケースの端で、大人のミジンコが流に翻弄される事なく泳げる程度が良いと思います。

エアレーションのある水槽では、水流による攪拌があるため、エサはドライイースト が最適です。

ドライイーストは栄養価が高いだけでなく、生きたイースト菌が水槽内で繁殖してくれるため、
エサ持ちも良いですが、与えすぎによる全滅の危険が高いため、常に不足気味に与えるよう
にし、足りない分を「ほうれん草パウダー」や「青汁パウダー」で補うイメージで給餌します。

しばらくの間は、「ほうれん草パウダー」や「青汁パウダー」に少量混ぜて与える様にします。
そして水の汚れ具合などを確認しながら、ドライイーストの量が半分ぐらいになるまで、配合量
を毎日少しずつ増やして行くと良いと思います。

アクアリウム用の照明などを当てている場合は、アナカリス(水草)などを入れる事により、よ
りいっそう水質が安定します。

ミジンコは目に見えて増えて行くと思います。ミジンコの数が増えるにしたがって、エサの量も
増やす必要があります。エサを与えてから、エサがなくなり水が透明になるまでの時間を見極
めながら、エサ水溶液の濃度や量を調整しましょう。

1週間ほどで飼育ケースも手狭になると思います。この後は60cmの水槽や50リットル程度の衣装ケースなど、最終的な繁殖水槽へと移します。

前回同様、水温をなじませ、沈殿物を移さないようにしながら、飼育ケースの水を繁殖水槽へと移します。もちろん飼育ケースには水を補充し保険のためにしばらく飼育を続けます。

繁殖水槽は大きいので、室内ではなく屋外に設置する事になると思いますが、なるべく日の
当たらない場所を選んで設置しするか、スダレやベニヤ板などで日陰を作ってください。

日のあたる場所に設置すると、ちょっとエサを与えすぎてしまっただけ、アオコが大量発生し
てしまいます。アオコはミジンコのエサになると言われておりますが、アオコには毒性があり、
ミジンコがアオコを大量に摂取すると運動障害を起こして死んでしまうという報告があります。

この報告が確かかどうかは分かりませんが、実際、アオコが大量発生してしまうと、ミジンコは
激減してしまいました。ケンミジンコはアオコの毒性に対し、ある程度耐性があるようで、ミジ
ンコが激減してしまったアオコ水槽で繁殖をはじめ、やがてケンミジンコがアオコを食べ尽くす
と、ミジンコが復活しました。

また、ミジンコのエサとしてポピュラーな鶏糞やパウダー状の稚魚のエサは、窒素やリンなど
が豊富に含まれるため、アオコの大量発生の原因になります。

エアレーションがあり、水量が豊富で水質が安定しやすい大型水槽でのエサは「ドライイース
ト」がお勧めです。「ほうれん草パウダー」や「青汁パウダー」も使用できない事は無いです
が、大量飼育になると、ミジンコが食べられなかった繊維質などの沈殿物がかなり目立つ様
になるため、食べられない部分がほとんどないだけでなく、比較的値段も安い「ドライイースト」
の方が、大型水槽の大量飼育には適していると思います。

エサを与える時は、ミジンコが前回与えたエサを食べ尽くし、水にある程度、透明度が出てきた頃を見計らって与えるようにします。与える量はミジンコの量にもよりますが、ドライイーストなら1日1回、小さじすり切り1杯程度が適量だと思います。

水が濁っている状態でエサを与え続けると、濁りに隠れて密かに増え続けたアオコが、一夜にして大繁殖し、ミジンコ水槽を崩壊させてしまう事もあります。

容器の大きさにあった数のタニシを入れ、エアレーションを設置し、ボウフラが沸かないように
ネットでフタをすればミジンコの繁殖水槽の出来上がりです。

ペットショップの熱帯魚コーナーなどで売られている「ヤマトヌマエビ」や「ミナミヌマエビ」を2、3匹入れておくと、沈殿物を食べてくれるため、水をより良い状態に保つ事が出来ます。

やがて、繁殖水槽でミジンコが増え始めると、エサとしての利用が出来るようになります。

ミジンコの採取方法ですが、1日1回、繁殖水槽の水ごとミジンコを汲み出し、ブラインシュリ
ンプネットなどを利用して、ミジンコを濾して採取します。

汲み出した水を金属製の茶漉しで濾せば、大型のミジンコのみを採取できます。

次に樹脂製の茶漉しで濾すと中型のミジンコ、
最後にブラインシュリンプネットを使用して小型のミジンコを採取すれば、与える相手の大きさに合わせたミジンコの採取が可能です。

汲み出す水の量は繁殖水槽の1/4〜1/3程度。減った水の量だけカルキ抜きした水を補充
する事により、繁殖水槽の水を良い状態に保つ事が出来ます。補充する水に、あらかじめエ
サを溶かしておくと、給餌の手間も省けます。

また、水を補充する時に、水底の沈殿物を軽く巻き上げるようにして水を注ぐと、食べ残し
や、糞に発生したバクテリアなどが浮遊し、ミジンコが食べられるようになります。

沈殿物は、エサを与えすぎているような事が無ければ、3ヶ月〜半年程度は放置しておいても
問題はありません。沈殿物の量が目に見えて多くなってきたら、灯油ポンプなどで吸い上げて
掃除してください。

メインとなる大型の水槽以外にも、100円ショップで売っている直径40cm程度のたらいなどを利用して、いくつかに分けて飼育すると、突発的な全滅を回避する事が出来ます。

また、落ち葉や土を入れて安定性を重視した容器から、エサを大量に与えて大繁殖を目指す
容器まで、環境の違った容器を多数用意する事で、ミジンコを効率よく増やしながら、絶滅の
リスクを最小限に抑える事も可能ですし、いろいろな環境でミジンコを飼う事により、ミジンコ
飼育への理解がよりいっそう深まると思います。

ある程度ミジンコの飼育に慣れて来ましたら、日向での飼育にチャレンジしてみてください。
ミジンコの糞や食べ残しにより植物プランクトンが発生し、日陰で飼育している時よりミジンコ
の育ちが良くなります。

ただ、アオコの大量発生だけは避けなくてはなりませんので、エサは必ず水が澄んでから与
え、量もアオコの大量発生を招かぬくらいの量をこまめに分けて与えるといった、水槽内のエ
サとミジンコのバランスにとても気を使う飼育になります。

ですので、ミジンコ水槽の状態を見ながら、エサの量の調整や、水換えのタイミングなどをしっ
かり見極める事が出来る上級者向けの飼育方法です。

日向に置く水槽には、落ち葉を数枚入れておきますと水質の安定に繋がりますし、アナカリス(水草)を入れておきますと植物プランクトンの急激な増加を和らげる事が出来ます。

繁殖のスピードは折り紙つきですので、日陰でのミジンコ繁殖で腕に自信が付いたら、ぜひチャレンジしてみてください。

冬場、気温が下がるとミジンコは繁殖をやめ動きも鈍くなりますので、エサを控え、水面が凍
ってしまわぬよう、板などでフタをして、暖かくなるまでそのまま放置します。 

春、暖かさが戻ってくれば、ミジンコたちは活動を始め、また繁殖を始めます。

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